今までのこと、チョットづつ

Duration : 12:00-19:00(定休日:月曜)

Opening : 2020年12月20日(日)~2021年2月14日(日)

Venue : 東京都港区台場2-2-4 クリニックモール3階

Tel : +81 (0) 3-6426-0726

Web : https://shunartdesign.com/

Artist : しりあがり寿|Shiriagari Kotobuki

シュンアートギャラリー東京は、2020年12月20日(日)より、しりあがり寿「今までのこと、チョットづつ」展を開催いたします。

しりあがり寿は、親しみやすい、ゆるくシュールなギャグ漫画から実験的で批評性の高い漫画で知られ、
その仕事は文芸春秋漫画賞や手塚治虫文化賞 マンガ優秀賞を受賞するなど、高い評価を得ています。
幅広いジャンルの漫画作品を手がける一方でアーティストしても精力的に活動。
インスタレーションやアニメーション、墨絵、絵画など様々な手法を用い、多くの現代アート作品を発表し続けています。
2018年には、シュンアートギャラリー上海にて個展「春 眠不覚笑」を開催し、好評を博しました。

本展では、2002年 渋谷パルコでの「渋谷宇田川町しりあがり寿歴史資料館」にはじまり、2016年の「回・転・展」での回転インスタレーション、上海での墨絵、記憶に新しい葛飾北斎のパロディ作品など、今までの展示から “チョットづつ”、新作を含む数々の作品を展示いたします。
「漫画の版画」、アニメーション作品の「ゆるめ〜しょん」、墨絵インスタレーション、板絵など、多様で興味深い”しりあがり寿ワールド”を体験できる展示となっております。ぜひ、この機会に足をお運びください。

「衰退」について~しりあがり寿個展 「今までのこと、チョットづつ」展に寄せて

 2020年はコロナ禍の中であっという間に終わりを迎えようとしている。
国立新美術館で今年開催された展示会の中で、「古典×現代2020 時空を超える日本のアート展」を緊急事態が解除された際、見に訪れた。8人の現代アートの作家に、古典の作家8人。葛飾北斎 vs.しりあがり寿は印象深い。北斎の「冨嶽三十六景」のパロディ「ちょっと可笑しなほぼ三十六景」の中で「赤富士」の名称で親しまれている《凱風快晴》を《髭剃り富士》に仕上げた作品とか「オヤジアタマの丘」や「フンドシとられた」など、和紙にインクジエットプリントの作品が廊下の両面の壁に掛けられており、その突き当たりのスペースには《ー葛飾北斎ー天地創造 from 四畳半》のアニメーションが部屋全体に映し出されていた。貧しいながら絵を描き通す北斎の四畳半生活が映像で描かれている。大画面で迫力満点だ。
 森美術館で開催されていた「ドラえもん展」の際のしりあがり寿作品も印象深い。ドラえもんが更にゆるくなり、のび太くんが更に有頂天になりそうに思えた作品(映像作品)が額装されたまま壁に掛けられていた。日本の現代作家約40人の作品の中でいまだ憶えているのは正直しりあがり寿作品だけだと言っても過言ではない。
 横浜美術館や海外の会場でライブで墨絵インスタレーションを描くことも少なくなく、上海での個展の際も、画廊の一室でも描いていただいた。北京や深センなど地方都市からファンの方が集まり、しり上がりさんに会った途端、感極まって泣き出す人もいた。その時描いた墨絵インスタレーションも今回展示する予定だ。

 今回、東京のギャラリーでこれまでの作品展を少しづつ展示する「今までのことチョットづつ展」をする運びになったことをとても嬉しく思う。小さく「やったー」と叫びそうな。

 振り返ると、皆大変な一年だったかもしれない。私も上海の大きいスペースを去年の年末から借りて内装の途中で東京に足止めされ、何もできないまま家賃を1年間払い続ける羽目になった。周りには日常に帰れないまま異国の地で居続けることを余儀なくされる人たちもいる。
 先日TVでマラドーナが亡くなったニュースが流れた。日中間の外相会議でビジネス通路が開かれると公開されたが、実際東京に戻るにはまだビザがいるのかどうか…おっちょこちょいな自分には本当にしんどい世の中ではあるが、忘れ物をしないように、几帳面に移動するしかない。

 東京に戻ってまもなく開催されるしりあがりさんの個展が楽しみだ。不安で大変だった一年の終わり頃に「笑い」をもたらす展示になるといいなあと切望する。

一方、世の中が「美魔女」やアンチエイジングなど「衰え」ることに抵抗し、「若さ」を必要以上に追求し続ける主流大衆文化の中で、あえて「衰え」を描くしりあがり寿作品の奥深い哲学に惚れ込んでほしい。「衰え」の先にあるのは誰もが行き着く「死」である。「究極的には、死」に対する思考を、哲学を直面できず、描けない作品は本当は無意味であると思う。
 ゆるく可愛く、「笑い」が秘められているしりあがり寿作品にたっぷり浸かってみるのはいかがでしょう。年末ですし。

             11月末日 Shun 上海アトリエにて